衆院東京15区補選(江東区、28日投開票)に無所属で立候補している乙武洋匡氏(48)=国民民主党、都民ファーストの会推薦=が21日、同区の亀戸駅前で演説を行った。小池百合子都知事(71)と国民民主の玉木雄一郎代表(54)が応援演説を行った際、暴漢が3人めがけて突進。止めに入った関係者を押し倒し、警官が出動する騒ぎになった。乙武氏、小池氏、玉木氏にけがはなかった。
告示日の16日に同地で行われた乙武氏の第一声では乙武氏、小池氏らに激しいヤジが飛んだ。この日、玉木氏らとともにマイクを握った小池百合子都知事(71)が「第一声はカオスでございました。大変混乱してしまいました」と振り返るほど騒然としたが、この日も再び混乱した。
乙武氏、小池氏と並んだ玉木氏が応援演説中、男が罵声を浴びせながら突進。制止したSPや党関係者らが止めたが、男が関係者の一人を押し倒した。「現行犯!」の声が飛び、関係者が取り押さえ駆けつけた警察官に引き渡した。玉木氏は「負けないぞ!」と拳を振り上げ、暴力には屈しない姿勢を見せた。
乙武氏は「しっかりと皆さんにお話を聴いていただける機会かなと思って臨んだら、また暴漢が襲ってきた。スタッフの皆さんが体を張って止めてくださった」と振り返った。
怒りを抑えながら「こういうことは許してはならない。私に対して様々な批判ですとか、質問とかは受け付ける。そういったものは言論でやっていただくべきこと。決して許してはならないということは、私からも発信しますし、メディアとしてもこういうことは許さないんだということをぜひ言っていただきたい」と訴えた。
玉木氏は記者団に「ひどいね。(選挙戦)初日もひどかったけど、今のもひどい。我が陣営だけではなくて、民主主義の危機だと思う。こういうことで威嚇を受けると、若い人で立候補しようとする人が減る。聴衆の皆さんも政治を見ること自体に失望感を与える」と断じた。
続けて「メディアの皆さんも真剣に考えた方がいい。ひとりひとりが候補者の思いに接して判断基準や判断情報をいただいて1票を投じていくという、基本的な民主主義のプロセス自体に対する脅威なんだということに、芽の小さいうちに気づかないと大変なことになってしまう。正論を訴えながら、極端なことを言わずに、現実的な政策を浸透し、その挑戦だと思っている。候補者本人と一緒に最後まで戦い抜きたい」と呼びかけた。